シェリー窯 ”偉大なデザイナーから見るカップシェイプの歴史”

2022/10/08

シェリー

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皆さんこんにちは。シェリーからは100種類を超える沢山のカップシェイプが生み出されてきました。今回は、そんな中から、シェリーの成長に不可欠な二人のデザイナーに焦点を当てて幾つかのシェイプをご紹介しますね!


ローランド・モリスとデインティシェイプ

シェリー窯がまだワイルマン窯だった頃のことです。ローランド・モリス(c. 1842-1898)は、パーシー・シェリーに雇われた最初のデザイナーとして知られています。モリスがワイルマン窯で仕事を始めた正確な時期は不明ですが、1896年3月に彼のデザインのひとつがデザイン登録されました。実はこれこそが、シェリー窯で最も長く愛されることとなるシェイプとなります。登録番号は272101で、その形は「デインティシェイプ」と呼ばれました。"dainty"とは英語で可憐なという意味があるように、カップの縁は花びら、側面はベルを連想させるような可憐な形が特徴です。

デインティシェイプのテニスセット

デインティシェイプは会社にとって大きな影響を与え、会社が生産することになる最も人気のあるデザインとなりました。モリスは、イギリスの陶器産業で活躍するフランス人造形師、M.マキシム・アボワンヌの協力を得て、約100個のデインティホワイトシリーズの原型を作りました。当初は白一色でしたが、人気が出るにつれて装飾が施されるようになり、記念のお祝いにも使われるようになりました。1966年に工場が引き継がれた時もデインティは生産されていたので、70年もの間、生産され続けたことになります。

エリック・ウォルター・スレーター(1902-1984)

シェリーの歴史(知らない方は、前回の歴史の記事もどうぞ)を語る上で、エリック・ウォルター・スレーターを外すわけにはいきません。エリックはシェリーでアートディレクターを務めていたウォルターの息子です。彼は1919年、17歳のときにシェリー陶器に入社し、父ウォルターのもとで働くことになりました。入社後、ストークではモデリングとデザイン、バーズレムではデザイン、ハンリーではライフクラスとデザインを学び、地元のアートスクールでトレーニングを開始しました。この訓練は7年間続き、彼は週に2回の午後と5回の夜間に学校に通った。1923年には「年間最優秀生徒賞」を受賞しました。

1920年代半ば、エリックは父親と一緒に仕事を続け、数年間は弟のケネスとケネスの妻で同じくデザイナー兼装飾家だったクララ・ナイトと一緒に仕事をしました。そして、1926年に人気パターンの一つである八角形の「クイーンアンシェイプ」を発表しました。このシェイプが確立されると、幅広いパターンがクイーンアンシェイプに装飾され、そのデザインで広く知られ始めました。

クイーンアンシェイプShelly GROUPより引用

1930年には、それまでシェリー窯が製造していたものとは全く異なる、アールデコ調の超モダンなデザインの2つのシェイプを発表しました。円錐形のフォルムと三角形のしっかりとした取っ手は、それまでの業界にはなかったもので、すぐにパラゴンやウェッジウッドなどの競合他社が同様の形の陶磁器を作り出しました。しかし、いずれもシェリーが得意とする高品質のボーンチャイナには及びませんでした。この形はティーカップ用のものを「ヴォーグシェイプ」、そしてコーヒカップ用のものを「モードシェイプ」と名づけられました。

ヴォーグシェイプShelly GROUPより引用

デザインは、幾何学模様や花をモチーフにしたものが多く作られました。中でも大成功を収めたのが、パターンナンバー11742(下の写真)で、黒とオレンジのカラーリングは1930年代を代表するデザインになりました。このデザインは、発表当初は警戒されていましたが、『ポッタリーガゼット』誌は、「世間を騒がせるかどうかはわからないが、ひとつだけ確かなことは、人々に立ち止まって考えるきっかけを与えるだろう...長い間、陶器業界の製造部門でもっと冒険的な精神を求めてきた人々がいる。それがこれだ!」と評しました。
モードシェイプ パターン11742Shelly GROUPより引用

しかし、ヴォーグとモードは2年間しか生産されませんでした。理由は、ヴォーグは幅の広い形状で、熱い飲み物がすぐに冷めてしまい、固いハンドルは持ちにくかった。そして、穴のない取っ手のせいでカップを吊るすことができないという苦情が寄せられたためです。

1932年3月、これらの問題を解決するために、エリックはまた新しい形の「イブシェイプ」を発表しました。これはモード型と同じスタイルでハンドルをオープントライアングルに変更された。イブシェイプは30年代後半まで続けられました。

イブシェイプShelly GROUPより引用

エリックはイブシェイプと同時期に、さらにロングセラーとなる次のシェイプを発表しました。このシェイプは「リージェントシェイプ」と呼ばれ、1960年代になっても生産されていたました。リージェントシェイプは、ヴォーグ、モード、イブの直線的なラインが曲線に変わり、カップのボディはトランペット型になりました。そして三角形だったハンドルは丸い形へと変わりました。持ちやすく、バランスが良く、飲みやすい実用的なデザインとして愛されました。 著名なゴードン・フォーサイスが、その著書「20世紀セラミックス」の中で、優れたデザインの例としてリージェントシェイプを選びました。リージェントに初めて施された絵柄は、それまでのヴォーグやモードとは一変し、花をモチーフにしたものが中心でした。

リージェントシェイプShelly GROUPより引用

終わりに

イギリスの名窯シェリーの歴史はいかがでしたか?感想を是非コメントに残してみて下さいね😊

今後もYUMIKICHIではシェリーの商品を追加していくのでどうぞよろしくお願い致します。



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ぐりちゃん
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